トイレキッス


「何だったんで、いったい?」


ベッドの上にもどると、三田村は腕を組んでうなった。


淵上は、さっき何を話していたのだろうか。


「麻見君が」と「そのとおりにした」。


聞こえたのは、このふたつだけだ。


三田村はこう考えた。


「麻見君が」何か指図をして、淵上は「そのとおりにした」のではないか。


あの淵上が麻見なんかの指図に従うとは思えないが、そのあたりは何か事情があるにちがいない。だとしたら、その指図とは、いったいどんなものだったのか。女性を窓から忍びこませるような指図だ。いずれにせよ、ろくなものではあるまい。憤った三田村は、明日麻見に直接問いただしてみることにした。



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