接吻《修正中》
発信画面が表示され、俺は耳元にゆっくり携帯電話を当てる。

プルルルという機械音が耳に響き、それに合わせるように俺の心臓も孤独する。

出来る事なら、お袋じゃなくて親父が出ますように・・・。

連絡を殆どとっていないから、親父の休みなんて知らない。

今日はいるのだろうか?

そんな事を考えていると、まだ整理の付かない頭の中に聞き慣れた高い声が響いた。


「・・・はい、もしもし?」


ドクンドクンと、速さを増す心臓。


「お・・・お袋・・・?」


出たのはやっぱりお袋だった。

いや・・・それより本当にお袋は仕事を辞めたのか?

この時間にお袋が家にいるなんて・・・なんか変な感じだ。


「えっ・・・?・・・寛久なの!?」

「・・・ああ・・・俺」


憎くて仕方なかった声も、今は何だか懐かしく感じた。
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