接吻《修正中》
「・・・あ・・・わりぃ」


頭で考えても、心が乱れる。

乱れたせいで、回りが見えなくなる・・・。


「早く帰って、休んだ方がいいよ・・・。今日の寛久おかしい・・・」

「ああ、そうする・・・悪いな・・・」


昨日の雨が嘘のように、空にはプカプカ白い雲が浮かんでいた。

風もなく急ぐ事もないのに、雲はいつもより速く流れる。


「じゃあね、寛久」


ニコッと白い歯を見せながら笑うと、手を振りながら小走りで信号先の駅に向かう。

・・・また、ひとりか。

帰って休もうって思っても、アイツが背後にいるんじゃないかって不安で振り替えれない。

家は逆方向だから、今来た道を戻らないといけないって解ってても・・・。

怖くて、振り向けない。


「・・・弱っちいな・・・俺・・・」


拳をつくり、グッと力を込めた。

なあ・・・。

アンタはさ、今の俺をどう思ってんだよ・・・。

俺はもういらねえのか?

必要ねえから、ああやって俺に見せ付けるのか?

なあ、お袋・・・?

あんたは何処まで、俺を汚すつもりなんだよ・・・?
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