接吻《修正中》
ケケケッと朔は笑い、遠くに見えるバスを見付けると、嬉しそうに指を指した。

可愛いとも格好いいとも言えない朔の笑顔に、何故か俺まで微笑んでしまう。

・・・バカだな。朔は。

朔の笑顔や笑い声が、一番安心する。

張り合えるのも、朔。

笑い合えるのも、朔。

今の俺には朔が一番近い存在で、家族よりも大切な存在。


「気分いいねえー。先頭ってのは」


ゆっくり俺達の前に停車するバスは、勝手にドアが開き俺達を招き入れた。

・・・乗りたくねえな。

家に、帰りたくねえ・・・。


「寛久ー?早く乗れよ、後ろの人困ってる」

「・・・ああ・・・」


バスの入口の前で足が止まる俺に、先にバスに乗り込んだ朔は立ち尽くす俺を不思議そうに見つめている。
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