接吻《修正中》
お袋がいるから、帰りたくねえんだ・・・何て朔に言ったら、朔はどんな反応をするだろうか?

朔迄もが俺から離れてしまうんじゃないかって怖くて、朔にさえ言えない・・・。

だから、俺は誰に助けを求めたらいいのか解らない。

早く早くと手招きをする朔に、渋々バスの中に乗り込んだ。

中はやっぱり学生ばかりだが、部活やらバイトやらで帰宅する奴は少ないらしく、混んでるとも空いてるとも言えない。


「あー・・・なんか微妙だから立つ?」

「・・・ああ・・・。どうせ直ぐ降りるしな」


携帯をいじる派手な女や、バスの中でさえ教科書を離さない男。

そして・・・。


「うわっ・・・」


ドンッと何かが俺の背中にぶつかり、声と共にドサッとバックが落ちる音がした。


「すっ、すみません・・・!」


声のする方をゆっくり振り返ると、この辺りでは見掛けない制服を着た、小さい女がペコペコと俺に頭を下げてきた。
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