接吻《修正中》
背後から気付かれないように近付くと、はあーっと大きなため息を奈々はついた。


「どうした?溜め息なんかついて」

「んー・・・。なんか、悲しい・・・って・・・!」


声をかけると、奈々はバッと振り返り、俺の顔を見て目を丸くした。

やっぱりコイツ、かなりのチビだ。

顔も近くで見ると、尚更幼く見える。

ポカーンとした表情のチビは、目を泳がせ何かを考えているが、何を考えているかは解らない。


「・・・あー・・・えっと、さっき見たことは忘れます!てか、忘れましたっ!だ、だから・・・」

「だから?」

「お金とかは、ありません!」


ガバッと俺に頭を下げるチビに、俺は一瞬言葉を失う。
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