接吻《修正中》
奈々と話して、一瞬お袋の顔が頭から消えた。

だけど。

また、頭に戻るアイツの顔。


「・・・なんか言えよ」


奈々は違う気がした。

でも・・・。

それはただの俺の思い込みで、奈々もやっぱり他の奴と同じなのか?


「・・・えっと・・・。定食ありがとうございました・・・こ、今度バイト代入ったら私がおごりますから!・・・あ、でも・・・うーん・・・」

「いいよ、別に・・・」


今、わざと話しを変えた?

さっき会ったばかりの奴に、何かを求める俺が間違っていたのかもしれない・・・。

これからも、変わらない。

それが解ってて、俺は家を出たんだじゃないか。


「俺、午後から用事あるから帰るわ・・・じゃあな、チビ助」


奈々の頭をグシャグシャに撫でてやり、俺は店を出た・・・。

何かを得ようとするのは、やめよう。

得たところで、俺はどうする事も出来やしない。
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