接吻《修正中》
「・・・そろそろ、入れるぞ」


何度女の中に埋めたであろう、この中指は。

俺が憎む女と対して変わらないであろう・・・。

何のために、俺は肌を合わせる?

アイツから逃げて、寂しさを紛らわせるため・・・。

でも、最後は結局―・・・。


「・・・寛久?どうし・・・」

「わりぃ、やっぱり今日はできねえ・・・」


結局最後は、アイツと同じ位置に立つ事になる。


「な、なんで!?」

「そういう・・・気分・・・」

「さっきまであんなに一人で突っ走ってた癖に・・・」


一瞬。

お袋の顔が頭を過ぎった。

あんな風に、なってはダメだ。

深く深く堕ちた俺に、此処からはい上がる術はあるのだろうか?

もし、あるのなら。

俺は、もうこんなことしたくねえよ・・・。

俺の中指も、お袋の中指も折れちまえばいいんだ。

もう戻る事が出来ないなら、これ以上深く堕ちないようにと。

俺とアイツの指を。

誰かへし折ってくれ―・・・。
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