接吻《修正中》
「きっとチャ太郎に似合うよ。チャ太郎、地味だから」

「地味?」

「うん。だってチャ太郎ってチワワみたいに目が大きい訳じゃないし、ダックスフントみたいに尻尾フリフリしないし・・・。だから、なんだか・・・」


なんだか・・・?


「・・・なんだか、私に似てるよね・・・」


奈々は、またシュンッと下を向くと無理矢理笑顔を造って俺に見せた。

・・・奈々・・・?

悲しそうな表情を隠すように、ヘヘヘッなんて気の抜ける笑い声を上げる。

奈々はお人よしなだけだって思ってたけど・・・。

奈々も何かを隠してるんじゃないかって。

俺みたいに、言葉に出来ない物があるんじゃないかって・・・。

ふと、そんな事が頭を過ぎる。


「・・・じゃあ、コレにするか・・・」


奈々が握りしめる黒の首輪をヒョイと取り上げ、俺はレジに向かった。

キラキラ輝く品物の中で、奈々が選んだ首輪は全くと言っていいほど存在感がない。
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