接吻《修正中》
それでも奈々がコレがいいと言うから、俺は別に構わない。

確かに奈々もチャ太郎も、目立たない分類だ。

こうやって輝く中にいたら、絶対に見付けられないような・・・そんな、存在・・・。

だったら俺は、どんな存在なんだ?

俺だって、いてもいなくてもいいようなもん。

必要とされていたら、今頃どんなに幸せだったろうか。

俺だけが辛いわけじゃないって解っていても、俺は俺自身の事で精一杯だから。

親父やお袋の事を考える余裕なんてない・・・。


「寛久、ちゃんとコレ付けて散歩させてあげてね?」

「・・・おお・・・」


自分の穴を埋める事すら出来ないのに、人の心配なんかしてられねえよ・・・。

だから。

だから俺は、奈々みたいに全ての世界を一点から見る事が出来ない・・・。
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