接吻《修正中》
その男がお袋の病院の医者だって知るのは、それから何ヶ月か立った後の事。

幼いながら、あの人は誰なのかと聞けなくて。

きっとそのうち忘れてしまうだろうって、思ってたのに・・・。


「・・・君が寛久君?」

「・・・あ・・・」


珍しく風邪をひいて熱を出した日。

無理矢理お袋に病院へと連れられ、そいつにあった。

お袋より頭一つ分位違う身長に、黒い無造作に伸びた髪。

あの日、お袋と抱き合っていた男がそこにいた・・・。


「寛久、大丈夫よ・・・。ただの風邪だから、薬貰って早く帰って、寝ましょうね」


ピタッとおでこに付けられたお袋手を、俺は力無く手で振り払った。

・・・なんで。

なんでコイツがいるんだよ・・・。

お袋を抱きしめてた男が、なんで今目の前にいるんだよ・・・?
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