接吻《修正中》
重い身体と、ぼやける視界。

その視界の中に並ぶ、お袋とその男。

ああ・・・そうか・・・。

その時俺は、グラグラ揺れる脳みその中で全てを理解した。

コイツは、お袋の浮気相手。

だからあの日、親父と喧嘩して家を飛び出したお袋は、コイツの元へ向かったんだ・・・。

親父と喧嘩する度に家を飛び出すお袋は、コイツ元に向かっていたんだと・・・俺は、理解した。


「頭痛いとか、気持ち悪いとかない?」

「・・・寛久、どうなの?ちゃんと言わないと解らないわよ?」


なんでこんな奴に返事を返さなきゃなんねえんだ・・・。

親父や俺を裏切っていた、お袋とその相手。


「・・・なんともねえ・・・。寝てれば治るから、俺帰るわ・・・」

「・・・ひ、寛久!?」


この場所にいたくなくて、俺は逃げるように椅子から立ち上がった。
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