接吻《修正中》
小さな一人暮らし用の黒い冷蔵庫を開け、牛のマークのついたミルクを取り出す。

持った感じが軽くて、朝の分だけでも足りるか心配になる。

足りねえかな・・・?

奈々が選んだチャ太郎用の器にミルクを垂らしてみるが、いつもの半分にも満たない。


「やべえ・・・ねえ」


奈々に似て、チャ太郎は喰うからな・・・。


「仕方ねえ、朝はこれで勘弁な」


尻尾を振りながら、床にちょこんと座るチャ太郎の頭をいつもより多めに撫でてやり、チャ太郎の前に器を差し出す。

チャ太郎の目にはもうミルクしか映っていないらしく、声も出さず一心不乱にミルクを飲み干す。


「・・・奈々・・・」


本当にチャ太郎が奈々に似てて、気付かないうちに俺は奈々の名を呼んでいた・・・。
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