接吻《修正中》
―――ウトウトと睡魔が襲い始めた頃、そんな雰囲気を壊す機械音が狭い室内に響いた。


「寛久。寛久の携帯鳴ってるよ?」

「おおー・・・」


身体がいい具合に沈むベッドから重い体を起こし、音を響かせる携帯を捜す。

無造作に置かれた自分の服の上にある携帯を開くと、朔という名前が俺を呼んでいる。

面倒だなと思いつつ、俺を呼び続ける朔に、渋々携帯の通話ボタンを押した。


「・・・なんだ・・・?」


朔は昔からの友達で、高校は違えど頻繁に連絡を取り合う仲だ。


『もしもし!?寛久!?お前、莉奈ちゃんの告白断ったろ!?俺が何か攻められてんだけど!』

「・・・はあ・・・?莉奈なんか知らねえよ」

『寛久てめえー!お前は女の敵だ!バカヤロー!告白された女の子の名前くらい覚えておけよ!』


朔はキャンキャンと電話腰に高い声で俺を怒鳴り付ける。

んなこと言ったって。

知らないものは、知らないんだから仕方ないだろ?
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