接吻《修正中》
「もっと早くに、家族になれればよかったと後悔してるのよ・・・」


ギュッとチャ太郎を抱きしめるお袋の背中が、小刻みに揺れている気がした。

・・・家族になる。

見せ掛けの家族になるのを選んだのはお前だろ・・・?

今更、何言ってるんだよ・・・。

粉末のインスタント珈琲をマグカップに入れ、沸騰したばかりのお湯を流し込んだ。

何も知らない親父を騙し続けて、今更何を言い出すんだ。

俺だって知らないと思って、騙してたんだろ?

言わなければバレないとでも、思っていたのか・・・?


「お母さんの浮気、・・・お父さんも知ってた・・・。知ってて、言わなかったの・・・っ」


お袋の途切れる声や、鼻を啜る音にチャ太郎の耳がピクッと動く。

泣いていると、犬でも解るのか・・・。
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