接吻《修正中》
親父も、見せ掛けの家族という形でさえ壊れるのを恐れた。

と・・・、いう事なのか?

親父はどうだか知らないが、俺は壊したくなかった・・・。

もう何も。

残っていないとしても・・・。


「もっと早くに、こうしてればよかった・・・」

「何がだよ。早かったら何か変わってたのかよ?」

「・・・解らない・・・。でも・・・寛久が学校から帰ったら、お帰りなさいって毎日言えた・・・。そして毎日、寛久に会えた・・・」


生活が不規則な親父とお袋とは、顔を合わせる回数が少なかったのは確か。

だから別に。

俺が家にいなくても、何も変わらないんじゃないのかよ・・・?


「あの日から、怖くなったの。寛久がもう、帰って来ない気がして・・・」


あの日・・・。

多分それは、俺がお袋に隠していた全てをぶつけた日だろう・・・。
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