接吻《修正中》
お袋が仕事を辞めたからって、何かが変わるわけじゃないだろ?

今まで何年も何年もすれ違って生活してきたのに、突然家族に戻りたいって言われたって戻れるわけがないんだよ・・・。

女を抱かなきゃ過ごせない雨の日も、お袋が仕事を辞めたからって変わるものじゃない。

チャ太郎が来てから女を抱く数は減った。

でも。

やっぱり暗闇からは、はい上がる事は出来ない・・・。


「チャ太郎」


お前は俺を必要としてくれる。


「チャ太郎・・・お前は、毎日俺を迎えてくれるよな・・・」


小さな耳をピクピク動かしながら、チャ太郎は俺の声に応えるようにキャンキャンと鳴いた。

信じてみないと解らないのに、また裏切られるんじゃないかって怖い。

一歩踏み出す勇気とは、こんなにも大変な事なんだな・・・。
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