君と一緒
side:カナタ
「琴音が入ってきた。しずくちゃんはとりあえず、ドームの中にいて」
しずくちゃんがいるとまずい。
琴音に危害を加えてる仲間の1人かもしれないからな。
琴音、大丈夫か?
琴音には俺の言葉はとどかない
しずくちゃんには霊感があるっぽい。
「う、うぅ…」
ブランコに腰を掛け
琴音は泣いている。
それなのに
俺は悲哀を込めてそれを見ているだけ。
琴音には霊感がない
俺が話しかけてもわからない
そばにいたって、
悲しそうな表情みて
俺が勝手に苦しんでるだけ。
この子についてからもう三年もたってるのに、
この状態だ。
俺はいまだに記憶を取り戻せないでいる。
神が制限しているからな。
俺の記憶は
俺自信を
悪霊化させるものらしい。
今はただひたすらに
琴音のそばにいる
「…なにも、しないのか?」
カイタが言った。
「……」
俺はカイタの目を見たが、
なにも、言えなかった
「…あのさ、カナタ。気持ちってちょっとした行動で伝わると思うんだ」
するとカイタは琴音に歩み寄った。
「…なにをする気だ。なにをしても無駄だ。俺は琴音としゃべれないし、ふれることもできない。」
涙声になってしまった
「なんだよ、金ぴかヤロウ、さっきの俺よりカッコ悪いぞ。」
カイタは琴音の腕を掴む
でも、すり抜けてるのがわかる
「えっ…」
琴音が不思議そうに自分の腕を見る。
カイタは、
琴音にさわれた?
「琴音ちゃんを助けたいなら強く願え。思いがあるなら、琴音ちゃんの心に語りかけるんだ。」
俺にもそんなふうに、
できるだろうか…
「どうやって、ふれた?」
カイタはちょっと照れながら
「お前の言った意識をしてみただけさ。」
と言った。
意外と簡単だな。
だが、俺はそれをしようとしなかった。
怖いんだ
怖がられるのが
「誰かが、見守ってくれてるのかな?」
…えっ、琴音?
怖がっては、
ないみたいだ…
長年たまってた
涙が、
俺の頬をつたった。