君と一緒


きゃあああああ!!



押し入れの中でも分かる、悲痛な叫びだった。


ただならぬ雰囲気を感じた。

しずくちゃん!

俺は押し入れから出ようとした、


が、戸か開かない!!



さ、触れん!!すりぬけてしまう!!



すりぬけて…、そっか!


そのまますりぬけて1階に行った。


「しずくちゃん!!」


しずくちゃんは俺の方を見たあと向き直った。


部屋の中にはタバコを吸っている女、

しずくちゃんにのしかかっている女がいる。


しずくちゃんの家族だろうか?


「で、結局あんた達のどっちがやったの?」


しずくちゃんとのしかかり女をタバコ女がにらみつける。

しずくちゃんが口を開く。

「私は、やってないっ!」
「私だって!!」
「おねえちゃんでしょ!!だって前おねえちゃんだったじゃない!!」
のしかかり女はしずくちゃんの姉だそうだ。
「そうやって人のせいにするんだ…今日はしずくが受けるんだね…。」
「いやよ…いやよ!!」


タバコ女がしずくちゃんに近づいてくる。

俺は気づいた。


まさかとは思うがこの女…


「やめろっ!!」


俺のこえはタバコ女の届かない。

幽霊の声はタバコ女には聞こえないみたいだ。


俺はとっさにしずくちゃんをかばった。


カイタさん…


小さな声でしずくちゃんがそういったのが聞こえた。

俺のかばったのもむなしく、タバコ女のタバコをもっている手がすりぬけた。そのタバコがしずくちゃんの鼻の頭に押し付けられた。

「ぎぃやああああああああああああ!!!!」

俺は…ただ、


彼女の鼻の頭が焼けただれていくのを


目を見開いてみた。

しずくちゃんの姉がしずくちゃんの体から離れる


しずくちゃんはただ、


泣き叫び続ける…



俺は、俺は…つらい、


しずくちゃんを、見てるのは…


でも離れるのは


もっとつらい。


くやしい。



しずくちゃんがこんなめにあってるのに





俺にはなにもできないなんて。





…あれ、幽霊でも、涙は出るのか

タバコ女も去っていく。姉は部屋に戻るようだ。俺はただじっとしずくちゃんのそばにいた…
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