君と一緒
side:しずく
とても、とても痛い…
鼻の頭…サイフの中身、取ってないよ
…おかあさんのサイフの場所すらわかんないよ
…おねえちゃんがやったのに…
「…大丈夫か?落ち着いたみたいだな。」
カイタさんは優しく声をかけてくれた。
やっぱりこの人は…
私は、カイタさんの顔を見た。
「?、どうかしたか?」
…キレイな顔。
束ねてある髪の毛が黒いのに輝いて見える。
「やっぱり、幽霊なんですね。私、びっくりしちゃった。」
カイタさんはうつむいてしまった。
「ごめんな。」
「えっ?」
?わけがわからなかった。
「俺が人間だったら、守れたかもしれないのに…悔しいよ、君があんなめにあっていたのに…」
なんだ、そんなことだったの。
私は笑顔で、
「大丈夫、いつものことだし…幽霊さんに見られちゃったのはなんかあれだけど。助けてくれようとしてくれただけでなんかうれしいよ。みんな助けてくれないから。」
私は床から起き上がった
カイタさんは涙をぬぐいながら、
「俺は一体、なんのためにここへ…」
カイタさんは記憶をとりもどすためにここへ来てるらしい。
同じような生き方…
カイタさんも、生前こんなことをお母さんからされてたりしたのかな?
自分の鼻の頭をそっとなでた。
いたいなあ。
カイタさんは、まだ静かにないてる。
私は本当に大丈夫なのに。
「大丈夫だってば(笑)もう、カイタさんは心配症だなあ」
ほんとに、みんなほっといてくれればいいのに。
カイタさんは
面目なさそうに顔をあげてくれない。
「カイタさん、これからずっと一緒なんでしょ?」
カイタさんはうつむいたまま
「…そうだな、君の家について、詳しく聞きたい。」
家のこと、あんまり話すの好きじゃないな。
どうせ、みんな見てみぬふり。
でもカイタさんは…
「私のこともうしずくでいいよ。」
笑顔でいった。
カイタさんも少し微笑んで、
「…しずく。俺は、呼びやすいように呼んでな。」
と言った。