君と一緒


side:しずく


とても、とても痛い…


鼻の頭…サイフの中身、取ってないよ



…おかあさんのサイフの場所すらわかんないよ


…おねえちゃんがやったのに…


「…大丈夫か?落ち着いたみたいだな。」

カイタさんは優しく声をかけてくれた。



やっぱりこの人は…


私は、カイタさんの顔を見た。

「?、どうかしたか?」

…キレイな顔。
束ねてある髪の毛が黒いのに輝いて見える。

「やっぱり、幽霊なんですね。私、びっくりしちゃった。」




カイタさんはうつむいてしまった。




「ごめんな。」



「えっ?」


?わけがわからなかった。

「俺が人間だったら、守れたかもしれないのに…悔しいよ、君があんなめにあっていたのに…」


なんだ、そんなことだったの。

私は笑顔で、

「大丈夫、いつものことだし…幽霊さんに見られちゃったのはなんかあれだけど。助けてくれようとしてくれただけでなんかうれしいよ。みんな助けてくれないから。」

私は床から起き上がった


カイタさんは涙をぬぐいながら、


「俺は一体、なんのためにここへ…」

カイタさんは記憶をとりもどすためにここへ来てるらしい。



同じような生き方…



カイタさんも、生前こんなことをお母さんからされてたりしたのかな?



自分の鼻の頭をそっとなでた。


いたいなあ。



カイタさんは、まだ静かにないてる。

私は本当に大丈夫なのに。

「大丈夫だってば(笑)もう、カイタさんは心配症だなあ」



ほんとに、みんなほっといてくれればいいのに。



カイタさんは

面目なさそうに顔をあげてくれない。

「カイタさん、これからずっと一緒なんでしょ?」




カイタさんはうつむいたまま




「…そうだな、君の家について、詳しく聞きたい。」

家のこと、あんまり話すの好きじゃないな。


どうせ、みんな見てみぬふり。





でもカイタさんは…




「私のこともうしずくでいいよ。」


笑顔でいった。

カイタさんも少し微笑んで、

「…しずく。俺は、呼びやすいように呼んでな。」



と言った。
< 6 / 46 >

この作品をシェア

pagetop