朱雨に鉛
しかし、雨久とて同じこと。
確実に弾丸は当たったのだ。近距離といえど、威力はバツグン。これで死なない方がオカシイのだ。
故に、
「きゃふっ、きゃふふふふふっ。いきなりい女の子の顔に穴空けるなーんて、君ってばちょー失礼しちゃああっう!」
「…チッ、やっぱイカレてんじゃねえか」
雨久はイカレた野郎である。
いや、女の子なのであるから、『野郎』は失礼か。
「イカレてる?イカレてるって、なあに?それは誰が決めるの?
君?あなた?僕?だれええええっ?
基準なんて誰もワカラナーイっ、だってだって、そんなのないもんねー!」
自覚はない。
いや、『普通』も『異常』も、雨久の中にはないのだ。