朱雨に鉛
(チッ、面倒くせぇな。大体、“ああまでしなけりゃ、殺られてたのはお前だぜ?”
つーか、誰がいるか分かんねえんだから一々口に出して俺と喋るな。脳内で喋れ)
「(うっ……わ、わかったわよ。でもっ、今度からはもう少し血生臭くないやり方にしてね?)」
(めんどくせ……)
「(もうっ!)………って、あら?」
一先ず区切りのついた会話に、ふと辺りを気遣う余裕の出来た彼女。
ああ、名前を伝え忘れていたが、彼女の名前は【キャサリン】。【キャシー】と呼ばれることもある。
彼女、キャサリンは腰まである金髪に青瞳。つまり外人(アメリカ人)である。
縁なし眼鏡をつけ、白衣を纏うその姿は、誰しも見惚れる美女であった。
もっとも、…
(あ”ぁ“あーっ、引き裂きてえし喰い殺してえっ!)
もう一人(キール)がこれなのだから、ひどく難癖はあるが。