朱雨に鉛
「あの、えっと……よかったら傘使う?……あ、そうだ。このままだと風邪引くでしょう?私の家で体を温めましょうか、ね?」
傘を傾けて子供に雨が当たらないようにするキャサリン。
その提案にキールがまた (おいおい…どこまでお人好しなんだよお前は……) と呆れていたそうな。
「………。」
「どうしたの?」
顔をのぞきこみ尋ねるキャサリン。
その子供は、迷彩キャップを深くかぶりボサボサの前髪で目が隠れていたものの、とても綺麗で透き通るような肌をしていた。
その頬っぺたを思わず触りたくなりウズウズするキャサリンだったが、突然頭の中でキールが叫ぶ。
(キャシーっ!こいつの右手見ろよ!それとすぐさま離れやがれっ!)