朱雨に鉛
「僕ちゃんの相手お相手っ?んでもでも!僕ちゃんは今忙しいのだっ!だああああいっ好きな能九ちゃあんがあっ、僕ちゃんを待ってるからあっ!」
「ッハ、【能九】(のうく)だあ?そりゃテメェの恋人か?そいつァ可哀想な奴だなあ。
なーんせテメェみてえな奇人変人狂った奴に愛されてんだぜえ?ちょーふこーものー、ってな」
げらげら笑いながら、それでも銃口を目の前にいる迷彩チャイルドから外さないキール。
さすがは手慣れか。
「んっもおう!テメェテメェって言わなーいでよおーうっ!僕ちゃんには【雨久】(あめひさ)っていうスッテキイーっな名前がありゅのおおおっ!」
「はあん? 知るか、ンなもん。 つーかあ?俺にゃあテメェの名前なんざどーでもいいことだしいー?
ッハ、名前どころか、存在すら忘れ………っていうか、今ここで消すし」
ーバアンッ
躊躇なくトリガーを引き乾いた音を響かせるキール。
あの重い引き金を片手でいとも簡単に引くとは、やはりただ者ではない。