未タイトル
「きっ…傷口に塩を塗らないで下さいよ…」



涙が込み上げてきてそれを隠すために俯いた



「…可愛いねぇ、紗香ちゃん」


そんな私の頭を撫でる先輩


「当たり前じゃないですか!」


他の女の子みたいに謙遜はしない


褒められるのは素直に嬉しいから


弱ってる時に優しくされると恋に落ちやすいと漫画にあったけど


なんとなく分かる気がした




かといって恋に落ちはしないけどね!




「ふっ…紗香ちゃんより別の女をとるなんて見る目ないね」



「その子も可愛いですよ?」


というより可愛いの基準なんて全然なくて、

皆、可愛い

その中で私も可愛い


ただそれだけ



「いいね。益々気に入ったよ」


「気に入らないで下さい」



私の刺々しい言い方でもニコニコしている


初めてみた時とは大違い



あ…

そういえばなんでさっき不機嫌な顔だったんだろう?







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