エンドロール


それに、私は忙しい。

一にバイト、二にバイト、三に睡眠で四にバイト。

毎日働かないと生活ができない苦学生なのである。


そんな私の名前は、菊地 美紅(キクチ ミク)。


大学受験を控える高校三年生だ。


虫も潰さないような顔をして中身はオッサンだねとよく言われるが、そんなことを言われても好きな食べ物はスルメだし、ソファの上で胡座をかいて大口でポテトチップスも食べる。

なんならそのまま大口開けて寝こけることだってある。


好きな食べ物はイチゴでハンバーガーも千切って食べますみたいなイメージはどこの誰かもわからない人間の妄想だ。


自分で言うのも何だが、高校入学当初はモテた。

校舎裏に呼び出されることも下駄箱にたくさんの手紙も一通り経験した。

だけど、すぐに私が残念美人だとわかると思っていた人と違ったと離れていき、近づいてくる人間はパタリといなくなった。


受験どころか明日、食べるものがあるかないかのところを毎日戦っている私にとっては片付けとか付き合うとかそんなのどうだっていい。


今の私の頭の中にあるのは今月どうやって切り抜けるか。そのことだけだった。



< 10 / 319 >

この作品をシェア

pagetop