エンドロール
「…はぁー………。どうしたものか……。」
私が頭を悩ませているときに、
「美紅!大変!」
と、少し高めの可愛らしい声で、ものすごい勢いで規則正しく並べられている机の間を器用に走り抜け、窓際の一番後ろの席に座る私に向かってきた。
「何いきなりどうしたの?」
走ったせいで息が上がっており、早く何かを私に伝えたい気持ちだけは伝わってくる。
私の目の前の机に両手をついて息を整えている女の子は、嘉山律(カヤマ リツ)。
入学当初から成績は学年トップを維持し続け、空手個人部門で全国大会優勝するほど文武両道。
また、女性を表す言葉で立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花なんて言うが、律の立ち振る舞いはまさしくそれである。
おまけに二年連続生徒会長ときたもんだ。
全くもって非の打ち所がない誰もが羨む女の子。
律が残した功績は数多く、学園創立以来の天才だなんて騒がれている。
それが私の親友だ。
「さっき階段の昇っていたら目の前で中森先生が階段から転げ落ちちゃったの。」
ようやく息が整ったと思ったら、グイッとこちらに顔を近づけて食い気味に言った。
その反動で、私は姿勢を少し引いた。