エンドロール
「あの人あの見た目で意外と運動神経ないよね。」
階段で転ぶなんて別に大したことではないのになぜそんなに騒ぐ必要があるのか疑問だ。
「何暢気なこと言ってるの。頭から血流して、さっき救急車で運ばれたんだよ。」
救急車で運ばれたってことは検査とかで今日はもう学校に戻って来ないだろう。
「それで大丈夫なの?」
「わからない。意識はあったけど、なんだか朦朧としてたし……。」
「人に片付けを押し付けようとするからバチが当たったのよ。」
管理責任者が不在ならわざわざ放課後の社会科準備室の掃除は逃げなくて済む。
少し沈んでいた気持ちが明るくなった。
「だけど、先生ね。救急車に乗り込む際、もし自分が戻って来なかったら美紅に社会科準備室の片付けをさせるよう教頭に引き継ぎしていたわよ。」
「はぁ!?!?」
死にかけている時でさえ掃除させようなんてどれだけ執念深いの。
「中森先生には全部お見通しだったというわけね。」
「あんの、ゴキブリ野郎。」