エンドロール
「…………。」
今度は社長自身が黙って私を足元から頭の上まで確かめるようにジロジロと見てくる。
「な、なによ。」
綺麗な顔立ちと相手を射抜くような目つきで見つめられたらどんなに気に入らない相手でもドキッとしてしまう。
「男いるのによく愛人契約なんて受け入れたよなーと思って。」
トシが報告したのだろう。
「別にあなたには関係ないでしょ。それに契約に彼氏がいたらダメとかないはずよ。
そもそも、それも知ったうえで契約を言い出したんじゃないの?」
私のことはあらかた調べてるはずだし、知らないなんてことはないと思うけれど。
「それもそうだな。
だがな、オレの言えた義理じゃないけどもっと自分を大切にしろ。
自分を大事にできない人間が誰かを救おうなんてできると思うなよ。」
愛人契約を吹っかけてきた人間が言うセリフとは到底思えなが、今の私にどこか刺さるところがあり、返す言葉が見つからなかった。