エンドロール
それに仕方なかったのだ。
何をどうしても頑なに首を縦に振らないのだ。
あの後、家でも話したけど“ダメだ”“大人しくしてろ”の一点張り。
そっちがその気なら私も私で勝手に動かせてもらおうと、今に至る。
「バレたらどうすんだよ。
第一お前的に顔バレしてんだからまずいだろ!?」
「だから、こんな格好してるんじゃない。
それに、長居は無用よ。
さっさと情報頂いてずらかるわよ。」
私は、縁の太い丸眼鏡をかけて、目元まで隠れる前髪で半分顔を覆い、お腹あたりまで真っ直ぐに伸び切った黒髪でほとんど顔がわからない姿だ。
今朝朝食を食べながら新聞を読む社長を見て、駄目押しにと右目の下に泣き黒子を書いた。
「私は恥ずかしがり屋の無口って設定でいくから、あとはよろしく。」
思いっきり猫背になり、首を少し前に突き出して暗い雰囲気を装った。
「ほんとに大丈夫かよ……。
そんなんじゃ、子どもも寄ってこねーぞ。」