エンドロール
「銘柄変えたか?」
一口ほど口にして、眉をピクリと動かした。
「えぇ。すみません。
いつもの物が切れてしまってそれしかなかったんです。」
いつも飲んでいるものが余程気に入っていたのか、もう少し苦いコーヒーが良かったと言いたげにカップを無表情で見つめていた。
こんなときに優雅にコーヒーを味わえるなんてどんな神経をしているのかと感じながら、コーヒーなんてどれも同じだろう、そんなに気に食わないないコーヒーはどんなものなのかと思い、社長同様に何も入れずにコーヒーを啜った。
「……!?にっが!?」
口にした途端、想像以上の苦みと渋みが舌を刺激した。
これ以上の苦みを欲した社長の味覚はとんでもなくいかれてしまっているのだと甘党の分際で分析した。
「ガキのくせに無理するな。」
「何よ!!私だってコーヒーくらいブラックで飲めないほど子どもじゃないわよ。」
「ほんの数秒前に苦いと言ったのはお前だろう。」
やれやれとなんでもないかのように冷静にコーヒーを啜っている。
目の前で苦々しいこのコーヒーを平然と口にしている余裕さがなんとなく小バカにされてるかのようで腹立たしい。