エンドロール
そんなとき、電話が鳴った。
今思えば、その電話音は私たち家族の運命を大きく変える警鐘だったのだろう。
電話にはお母さんがはいはい今出ますよと小走りで受話器を取ったのを今でも鮮明に覚えている。
お父さんならいつも携帯電話にかけてくるからまたセールスの電話か何かだろうなんてこのときは軽く考えて、少しでも作業を進めようとお鍋に火をかけていた。
しかし、なかなか戻ってこないお母さんが気になって電話機が置いてあるリビングの方に顔を出すとお母さんが受話器を持ったままその場に座り込んでいた。
「お母さん……?」
体調が悪くなったのかと心配になり、急いで駆け寄ると顔を覗くとが真っ青だった。
「…どうしたの?…大丈夫?」
そして、お母さんは静かにこう言った。
「……お父さんが……亡くなったって……。」
私はすぐには理解できず、お母さんが悪い冗談を言ったと思った。