エンドロール
「……って言っても菊地。
お前にはわからないようだから放課後社会科準備室に来い。」
「……は?なんで?」
あれだけ授業の時間を削ってまで説教していたのにまだ言い足りないのだろうか。
「口で言ってわからないなら体でわからせるしかないだろ。安心しろ。ちゃんと散らかってるから存分に片付けてくれ。」
なるほど。目的はそこにあった。要するに片付ける要員が欲しいだけだ。
鍛え上げられた体に体育教師のような服装。おまけに体育会系な所作なのに頭はバーコードという世間の社会科教師のイメージを大きく外しているだけある。
そのねちっこさはしっかり社会科教師だ。
“ふざけるなっ!”
って普通ならそう言って抵抗するだろう。
「はいはい。わかったよ。」
だけど、私は軽く返事をする。
別に、私がいい子ちゃんだからではない。
ただ、ここで抵抗したところで罰が撤回されるわけがない。
だったらここで素直に適当に返事をしておいて、放課後になったら逃げればいい。
それに、担任だからって別に言うことを聞く必要なんてない。
ましてや、社会準備室を片付ける義理もない。
そんな生産性のないことに時間と労力を費やすくらいならもっと有益なことをする。