エンドロール
「やけに素直だな。」
キーンコーンカーンコーン
一瞬怪訝な表情を浮かべたが、校内に鳴り響く授業終了を告げるチャイムがその場に終止符を打った。
「よし、今日はここまでだ。
菊地。逃げるなよ。」
捨て台詞のようにそれを言い残し、教室をさっさと出て行った。
きっと今頃鼻歌か口笛でも交えながら職員室に向かっているのだろう。
受験前のピリピリした雰囲気の中で一分一秒が惜しい時期になんてやつだと心の中で罵りながら、片付けをすっぽかされた時の彼の表情を想像すると少し楽しくなった。