ただ、恋をした
橘先輩はこういう事をいうような人じゃない
「もう話し終わりでいい?着いてこないでね、さよなら」
五十嵐先輩が顔を歪める
橘先輩は歩きだして見えなくなった
先輩の頬には一筋の涙の跡
「せん…ぱい」
私は彼を抱きしめた
そうしないと、壊れて消えてしまいそうだった
「先輩、せんぱい…」
ただ、夢中で名前をよんで抱きしめた
雨が私達を容赦なく濡らす
消えてしまいそうだった先輩を、必死でその存在を確かめた