塩辛い酒よりも、甘ったるいだけの酒が飲みたい。

まあもっとも、お琴ねえさん以外にそう呼ばれると眼力だけで相手を殺しそうになるが。


『【鶴】や呼んでええんは姐さんだけやっ!気安く呼ぶんやないっ阿呆共が!』


それでも、実力は確かなんだけどね。



「なあ、サカズキ。たまにゃあ『鬼桃天酒』(きとうてんしゅ)やなくて、こっちの酒も飲んでみいひん?」


「んう?師匠がつくったやつですかあい。そりゃあ美味そうだあ~」


「……サカズキ、あんた酔ったんかいな」


「からからからっ!そおーんなわけなあいってよおうっ。おいらは彼の鬼大将・酒呑童子(しゅてんどうじ)だかんねえ~!」


「酔っとるやんけ」



呆れた顔をしておいらを見つめる師匠。

なあーに馬鹿なこと言ってんだい。おいらは妖怪・酒呑童子(しゅてんどうじ)。

そう簡単に酔うわけないってば。

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