塩辛い酒よりも、甘ったるいだけの酒が飲みたい。
「…まあええわ。ほら、サカズキ。この甘酒飲みいやあ」
「うぇえ~?そんな甘ったるいの飲めねえよういっと」
「ええから、ええから。格闘大会?っちゅーやっちゃ行ってきたんやろ?これはその『お疲れ様』の証や」
「………ああ、師匠、知ってたんだ」
瞬時に酔いがさめる。
いい気分だったのに、師匠も人が悪いようで。
盃を受けとると、とくとくと音をたてて師匠が注いでくれた。
師匠も自分のに注いで。
「「乾杯」」
かちゃ…と盃がぶつかりあう音だけが響いた。