七夕レイニー
「じゃあ、向こうで借りてくるよ」
「ごめん、そうして」
サク君が踵を返してもう一度校舎に向かおうとした丁度その時。
ガタン。…ガチャリ。
校舎の入り口を閉じる無情な音。
そしてもう少し後に去っていく足音。
それらが聞こえなくなった時に、サク君は笑顔のままダーっと涙を流しながら言った。
「申し訳ありません。一緒に入れてください!」
たった一言で、今まで静かすぎるほどに成り行きを見守っていた三人が一斉に歓声を上げたことはもう、言うまでもない。
そして意もせず相合傘。面倒なことに三人は私たちより少し前を歩いてこっちをチラチラ、話に聞き耳を立ててくる。
「まったくもう…」
先ほどの会話も相まって、なんだか異常に恥ずかしくて暑い。
まともに顔を見ることもできなくて、私はそっぽを向いて、会話もなく歩いていた。
そんなときに彼はおもむろに口を開いた。
「雨ってさ、不思議だよね」
「何が?」
私にとってはこの状況で、さっき思い切り頭を下げたのに今はケロッとして、ニコニコなあんたのが不思議でしかたがない。
「こうして落ちてくる一つ一つが水の球で、それぞれが世界を映しているのに、どれにも属さずに落ちてくところ」
「…」
なんとも言い難い。
「ごめん、そうして」
サク君が踵を返してもう一度校舎に向かおうとした丁度その時。
ガタン。…ガチャリ。
校舎の入り口を閉じる無情な音。
そしてもう少し後に去っていく足音。
それらが聞こえなくなった時に、サク君は笑顔のままダーっと涙を流しながら言った。
「申し訳ありません。一緒に入れてください!」
たった一言で、今まで静かすぎるほどに成り行きを見守っていた三人が一斉に歓声を上げたことはもう、言うまでもない。
そして意もせず相合傘。面倒なことに三人は私たちより少し前を歩いてこっちをチラチラ、話に聞き耳を立ててくる。
「まったくもう…」
先ほどの会話も相まって、なんだか異常に恥ずかしくて暑い。
まともに顔を見ることもできなくて、私はそっぽを向いて、会話もなく歩いていた。
そんなときに彼はおもむろに口を開いた。
「雨ってさ、不思議だよね」
「何が?」
私にとってはこの状況で、さっき思い切り頭を下げたのに今はケロッとして、ニコニコなあんたのが不思議でしかたがない。
「こうして落ちてくる一つ一つが水の球で、それぞれが世界を映しているのに、どれにも属さずに落ちてくところ」
「…」
なんとも言い難い。