魔界女王伝

第五章、復活

　日本から外れてイギリスにあるロンドンの市内は大雨が降っており、時折、雷が轟音を響かせていた。



風が吹き、北から不気味な黒い雲が移動していた。



その雲はまるで意志でも持っているかのように大英博物館を目指して進んでいた。



　黒い雲は博物館の上空で止まった。



　一条の雷光が博物館に落ちて吸い込まれていった。
だが、もしも・・この雷光を近くで見た者がいたら、見えたかもしれない。
雷光に悲痛な顔が映る姿をしていたことに。



　上空の黒い雲から人の悲鳴に似た音が一瞬響いた。

　博物館の中にあるガードマン用休憩室のドアが開いた。中は大きな部屋になっており、二段重ねの古びたベットが二列右側の奥に設置され、左の奥に簡素な台所になっていた。



ガードマンの一人である白人のスティーブンは、サングラスをとって柱時計を、チラリ、と流し見て、舌打ちをした。左手で帽子をとって、髪をかきあげ、勤務時間に遅れている黒人のジョンソンが眠っているベットに向かい、階段を上がって右手で寝入っている
ジョンソンを揺さぶりながら大声で怒鳴った。
「おい、ジョンソン、ジョンソン起きろよ」



ジョンソンは、毛布を頭の上までかぶりながら言う。
「んーもう少し寝かせてくれよ、あとちょっとでいいから」　



ステーブは半ばあきれながら言う。
「まったく、ふざけんなよ、ジョンソン。休憩は終わりだ」
　ジョンソンは左手で目をこすりながら起き上がり背伸びをした。
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