魔界女王伝
 だが、娘のジョアンナは年に似合わず冷静にこう言ってのけた。
「パパ、ママ、私の事でケンカしないで。・・・私は大丈夫だから」
 小学校に上がったばかりの娘の健気なそのセリフに、ジョンソンは急な仕事を入れた事を心底悔やんだ。



「ジョアンナ、すまない・・・そうだ今からでも遅くない。仕事は休むよ。だって、
一番大切な日だからな」



 だが、そんなパパの姿を見たジョアンナは言う。



「パパ、だめだよ。ダイアンのおじちゃんとの約束を破るなんて。パパ言っていたじゃない。昔、一度失った信用を回復させるのは難しいって」
 そういって、ジョアンナは目に大粒の涙を右手で拭きながら笑顔で言った。
ジョンソンは泣きながら娘を抱き締めていう。



「ありがとう、ジョアンナ。パパはやっぱり仕事に行くよ。だけど仕事が終わった次の日はみんなでお祝いしょう」



「うん」とジョアンナは言う。



サリーも黙ったまま二人を見つめて泣いていた。そして思った。「私はなんてバカなんだろ
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