魔界女王伝
「ま、確かに不気味だがな・・・」
そう言いつつ、重たい足取りで例の人形の所に向かった。
巡回中に突如、巨大な地震が起こり、建物全体が揺れた。



「な、なんだ地震か!」ジョンソンに緊張が走る。地震は約一分ほど続いた。このおかげで監視モニターが一時的にその機能を失った・・・。ジョンソンはケータイで警備室に連絡をしたが、どういうことか連絡を取れなかった・・・。



「今の地震で電波がおかしくなったのか、ん?」
館内から青白い無数の線が人形の方に集まっていた。ジョンソンは本能で一刻も早くこの場から逃げなければならないと思った。しかし、自分の意思とは関係なく足が勝手に人形の方に吸い寄せられていた。



ジョンソンは全身に大汗をかきながら冷静になろうとしていたが恐怖は隠せなかった・・。
「マ、マズい!!どうすれば!?」
そうしているうちに人形のコーナーに着いた。ジョンソンは息を飲んで人形を見たくもなかったが、見てしまった・・・。



ガラスケースに収められた人形に青白い光が次々と吸い寄せられていた。まるで生気を吸い取っているようだった。



「な、なんだ? この光は。ん、こ、これは?・・・に、人形の目から本当に血の涙が流れている?」
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