魔界女王伝
ジョンソンの心臓あたりに五本指の小さな手がまるで焼印となって黒く残っていた。
医師も身震いする。



スティーブはこのアザが何者であるか分かった。一瞬、気が狂いそうになる。額からは大量の冷や汗を垂らしていた。
「悪魔の人形か・・・」



医師は意を決したようにスティーブに話しかける。
「一体、今日あの博物館で何が有ったのですか。どう考えてもこのアザは異常です。私が見た限りまるで高電圧のため心臓が止まったように思えるのですが、しかし、このアザは
・・・」医師は何か考え付いたように一人で納得した。

一体どう説明していいか分からなかった。まさか人形が勝手に動いてジョンソンを殺したなどと、誰が信じてくれよう。考えふけって困っていると、医師は言う。



「スティーブさん、このアザはどう見てもまともじゃありません。まるで悪魔にでも殺されたような感じですね。・・・もしかしたら力になれるかもしれません、何が有ったか話してくれませんか。」医師はそういってスティーブに優しく話しかけた。



スティーブは少し考えたが、意を決して全部話した。ダイアンの事故の事や悪魔の人形の事を・・・



この狂気じみた話をしても医師は何不思議がることもなくこう言った。
「なるほどわかりました。ところでスティーブさん、確かに気のふれた話ですが、私はさる人物を知っていてこの手の話がまんざら嘘ではないと思っています。」
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