「視えるんです」
出会ったのは数日前で、今日顔を合わせるのは、二度目。
だけどそれでも、胸のドキドキは嘘なんかつかない。
本田先輩は私のタイプのど真ん中で、そして私は、彼に恋をしてる。
それを意識した瞬間、ドキドキは更に増していく……。
「こっちなら平気。 今、もう一つ椅子を出すから」
「……あの、本田先輩っ……!!」
「え? あっ」
……うわあっ!! 立ち上がった先輩の腕を、思わず引っ張っちゃった!!
本田先輩は当然バランスを崩して、私の方へと倒れ込む……直前に、なんとか体勢を立て直した。
でも今先輩は、私のすぐ目の前……まるで、キスしようとしてるような、そんな距離。
「……」
「……」
「……大丈夫だった?」
「……はい……すみま、せん……」
距離は変わらず、近い。
ドキドキが聞こえちゃいそうなくらい近いのに、先輩は全く動かず……いや逆に近づいてきて……。
……そのまま私は、先輩にキスされた。