「視えるんです」
「もっと雨宮さんと話がしたい。 色々なことを、知りたいんです」
雨宮さんの本当の姿を、本当の想いを知りたいと思った。
だから……ーー、
「俺に恋しても、いいことなんか何もないぞ」
「……っ……」
ーー……恋。
そう言った雨宮さんは、とても優しい笑みを浮かべていた。
「もっとも、俺はお前に恋をしたんだがな」
「雨宮さ……」
「恋をしたからこそ、俺は『上』へ行きたい。
『上』へ行けば、いつかはそちらの世界に戻れるかもしれないだろう?
未来の無い狭間の世界に居るよりも、俺はそれに賭けたい」
次に出会った時は、お互いミジンコか何かかもしれないがな。と続け、雨宮さんは私に手を伸ばした。
「いつかまた会える。
幽霊の行く末を見てきた俺が言うんだ、間違いないだろう?」
「……」
「俺はお前を、『上』から見守り続けるよ」
雨宮さんを見つめたまま、手を伸ばせなかった私に、彼は更に手を伸ばしてきた。
「ありがとう、南沢」
その言葉と共に、二人の手が重なる。
……直後、雨宮さんが体に入ってきた感覚があり、
私は静かに、意識を失った。