「視えるんです」
真実
………
……
…
目が覚めた私に、医師に色々な質問をしてきた。
昨晩何があったのか。
誰かに何かをされたのか。
覚えてることを話してくれないか。と。
……たくさんのことを聞かれたけれど、どれも上手い答え方は見つからなかった。
私が視たものを話すのは、不可能だ。
いや、話そうと思えば話せるだろうけど……それを話してしまったら、きっと今居る病院から別の病院へと移されることになるだろう。
……話したとしても話さなかったとしても、どうせ何も変わらない。
普通の人には視えないのだから。
視えない人にあれこれ話したって、なんの意味もないのだから。
質問してくる医師には悪いけれど、私は何も答えられない。
答えたく、ないのだ。
答えたって、雨宮さんはもう、戻っては来ないのだから。