「視えるんです」
ありがとう
………
……
…
そして、日曜日の朝。
先生は逃げることなく、私の家まで車で迎えに来てくれた。
翔先輩はすでに乗り込んでいて、ニコッと微笑んだ。
「先生、ここからどれくらいですか?」
「3時間」
「え、案外近いんですね」
「そりゃあ、近くなかったら行かねぇよ」
「……ですよね」
うん、半沢先生だもんね。
近いからこそ行くし、遠かったら行かない。
そんな感じがするし、実際にそんな人なんだと思う。
「でもなぁ、高速乗って3時間だから、距離的には結構遠いんだよなぁ。
面倒だからその辺の墓地で済ますか」
「さっさと出発してください」
「……お前なー、少しは俺の冗談にも付き合えよ。
あ、あんなところに浮遊霊っ」
「……先生、早くしてください」
「チッ、つまんねーな」
ブツブツ言いながらタバコをふかす先生を睨みつけると、ようやく車が発進した。
「運転、気を付けてくださいね。
まだ、力が完全に戻ったわけじゃないんですから」
「心配すんな。 もう二度と、ヘマはしねぇから」
「……はい」
フゥ……と息を吐き出した先生は、タバコを灰皿に押しつけ、鏡越しに私を見る。
その後どうだ? と、前に聞いたのと同じセリフで。