「視えるんです」


……ゆっくりと目を開け、お墓に笑みを見せた。

私の、進むべき道。
今はまだハッキリとは見えていないけど。

でも、私は私の道を行く。


そうすることが、雨宮さんへの恩返しになるんじゃないか。と、思うことにした。



いつかまた会った時、精一杯に生きた私を見せられるように。


それを胸に抱きながら微笑んだ。




「そろそろ行こうか」

「はいっ」




隣に立つ翔先輩が笑い、そっと私に手を差し出す。

その手を握り締め、私もまた笑みを浮かべる。




雨宮 秀一の墓。

そして、目の前に広がる世界。


それを見つめたあと、私たちは歩き出した。


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