「視えるんです」
「半沢ティーチャーの話は、ほとんどがその場の作り話なんだ。
でも時々、本当のことを言う」
「本当の、こと……」
「そう、本当のこと」
ーー幽霊が居る場所を、本当に言ってしまうんだ。
その言葉に、背筋が凍る。
彼は真っ直ぐ私を見ていて、笑顔は無い。
「半沢ティーチャーは放課後と言ったけど、正確には『時間は関係なく、一人はマズい』からね」
「……っ……」
「一人で居る時、踊り場の鏡は見ない方がいい。 帰ってこれなくなるよ」
ーーさっきのように。
……そう締めくくり、本田先輩は私の手を離した。