「視えるんです」
「お前居残りね」
「……はい?」
「だってずっとボケーッとしてんだもん。 居残り補習ー」
……いやいやいや、ボケーッとしてたのはあなたでしょう。
授業中だというのに缶コーヒーを飲んで雑誌を眺めていたのはどこの誰ですか。
その間生徒には『お決まりの自由時間ー』と言ったのはあなたでしょう?
なのに、何故に私が居残り補習を受けなくちゃいけないんですか。
「先生、私はちゃんと教科書眺めてましたけど」
「あのねぇ南沢ちゃん。 音楽っつーのは教科書眺めるんじゃねぇのよ。
心で感じるわけよ、心でね」
「……よくわかりません」
「んだから補習だっつーの」
と意味不明なことを言われ、私は一人、補習を受ける羽目になってしまった。