「視えるんです」
「あの……お昼休み、なんですが」
「よし、ここにあるパンから好きなのを選べ」
コンビニのでっかいビニールを、乱雑に机に置く半沢先生。
その乱雑な動作のせいで、中からドババーッとパンやらお茶のペットボトルやらが雪崩のように床へと落ちた。
……この人、初めから私を残すつもりだったな。と思った。
じゃなきゃ、こんなにコンビニで買うわけないもの。
というか、二人で食べるにしても多すぎると思います……。
えっと、あんパンにメロンパン、クリームパンにチョコパン……って、甘ったるいものばかり……。
飲み物は緑茶ばかり、色んなメーカーのが並んでいる。
「女子って甘いものが好きだろう?」
……まぁ好きですが。
でも、甘いもの尽くめは見てるだけで胸焼けになりそうです……。
「そういえばお前、本田とどうなった?」
床に落ちたものを拾っていると、半沢先生が聞いてきた。
あのあと会っているのか?と。
「全然会ってません」
「会いに行かねぇの?」
「どこへですか」
「この下」
この下……あぁ、空き教室のことか。
そういえばあそこは、音楽室の下だもんね。
あの空き教室に行けば、本田先輩に会えるのかな。
でも用もないのに会いに行くのは、どうなんだろう……。
「お前ら、付き合ってるんだろう?」
「へっ?」
「本田が言ってたよ? 告白されて、オーケーしたって」
……えぇ!? 本田先輩、半沢先生に話しちゃったの!?
というか私と本田先輩って、ちゃんと付き合ってることになってたの……!?
幽霊の話とか、突然現れた半沢先生とか……色々なことがあって、あの時はうやむやになっちゃっていたけど。
でも先輩は、ちゃんと私の告白を、承けてくれていたんだ……。